5月12日(土)、第57回寄居北條まつり剣道大会が寄居小学校体育館にて開催されました。春先から暑い日が続出している今年の初夏ですが、この日も暑さに見舞われました。午前10:00に役員が集合し、会場準備をしていた頃はまだそれほどでもありませんでしたが、午後になると気温は25℃を超える真夏日となりました。それでも体育館の窓を開け放つと、爽やかな初夏の薫風が通り抜け、どうにか暑さをしのいでいました。
開会は13:00の予定でしたが、会場の準備も整い、選手も揃って、ご来賓もお見えになられていたことから、予定より10分程度早めに開会式が始まりました。ご来賓には寄居町体育協会の黛会長様、寄居町スポーツ少年団本部の松本本部長様にご臨席賜り、選手に激励のごあいさつをいただきました。


開会式後には演武が行われ、寄居城北高校の剣道部、江田弥羽さん、中村朱里さんによる日本剣道形の演武が披露されました。
今年の出場者数は、北條軍42名、豊臣軍43名の総勢85名。ほどよい人数構成となりました。
各軍のメンバー構成は、例年どおり当日発表されます。先鋒の小学生から中学生、高校生へと進み、一般へと続く各年代をひとまとめにした陣容です。各軍の大将が、チームの士気を高めようと、「えい!えい!おー」の勝鬨(かちどき)でチームの団結を図ります。下の写真、右が北條軍、左が豊臣軍です。


今年も60席程度の観客席を用意しましたが、開会のときからほぼ埋め尽くされ、立ち見もいらっしゃるほどの盛況ぶりでした。応援の皆さんも、この試合方式に慣れてきたようで、楽しみにご覧いただいている様子に、主催者としても喜びを覚えます。
そして両軍、礼を交わし合戦が始まります。


先鋒は小学生低学年、北條軍からは酒井(花園櫻武会)、豊臣軍からは島田(成心館)が開始線に進み蹲踞します。ともに女の子で、初陣です。右上の写真、右側に蹲踞している酒井の後方でその雄姿を見守る青い胴の選手は父親です。昨年に続き今年も北條軍の大将を努めています。先鋒と大将を親子で組み合わせたのは事務局の粋な計らいだそうです。対する左側の島田の父は今年は審判員として関わっており、やはり後方の審判席から我が子の試合を見守っています。
太鼓の合図とともに試合が始まりました。



元気な立合いで始まった先鋒戦は豊臣軍・島田が制しました。しかし、その後は続かず、一進一退の攻防となります。
対戦の組み合わせ表は下のとおりです。文字は小さくて読めないだろうと思いますが、試合の流れをイメージするのにご参照ください。上が北條軍、下が豊臣軍、左側が先鋒で、小学生の低学年から始まり、高学年、中学生女子、同男子、高校生女子、一般女子、高校生男子、一般男子と年代・性別順に布陣されており、大将は一般男子が務めます。

始めに均衡を破ったのは豊臣軍でした。豊臣軍4番手の反町(成心館・小学生高学年)が中学生女子をも敗る4人抜きで北條軍に差をつけると、そのまま豊臣軍がわずかなリードで進行していきました。



この流れを大きく変えたのが北條軍13番手の大八木(男衾中・中学女子)でした。
大八木は、立ち上がりから怒涛の快進撃で豊臣軍勢を次々と討ち取り、やがて中学生男子が登場しても勢いに乗って勝ち進みます。5人、10人と勝ち抜くと、対する豊臣軍には焦りが見え始めます。何とかしなければと大将から檄が飛びますが、誰も大八木の勢いを止められません。
やや疲れの見え始めた大八木を同軍の応援が盛り立てます。特に寄居城北高校のお姉さんたちの元気な声援は、連戦の疲れを吹き飛ばす大きな励みになったのではないでしょうか。大八木の一挙手一投足に会場が沸きます。連勝を重ねる大八木に、応援席からも暖かい応援が送られていました。この応援を後ろ盾に、さらなる快進撃が進みます。


通常、剣道の試合における応援は、拍手のみで声援は控えるようにと言われていますが、この大会では、戦国時代の合戦を模した大会ということで、声を出して応援するようにとアナウンスしています。両軍の応援も盛大に盛り上がります。
15人目を抜いた頃だったでしょうか、当日の暑さを心配した大会本部から、大八木選手に一時休憩して水分補給をするように指示があり、この大会では初めての「水入り」となりました。大八木自身は大丈夫だというような仕草をしていましたが、やはりこの暑さです。大会本郡の再三の指示に従い、いったん面を外して、試合は一時休止となりました。



しばらくして再開し、さらに勝ち星を重ねますが、やや集中力が途切れたか、18人目で引き分けに終わり、連勝記録は17人で止まりました。それでも、17人抜きはこの試合方式になってから10年の歴史の中で過去最多の大殊勲です。ものすごい記録を打ち立てた大八木を会場いっぱいの喝采が讃えました。
さて、大差をつけられた豊臣軍ですが、その後じわりじわりと巻き返しを図ります。豊臣軍31番手の杉山(寄居中・中学男子)が5人抜きで差を縮めると、高校生女子の陣営でもじわりじわりと追い迫り、高校生男子が登場する頃には、再び互角の流れになっていました。






終盤戦、今度は豊臣軍41番手の沼尻(花園櫻武会・高校男子)が高校生、一般との激戦を制し、北條軍の大将・酒井(花園櫻武会・一般男子)を引っ張り出します。豊臣軍にはまだ二人を残しています。



毎年厳しい勝負を強いられる酒井ですが、今年も充実した立合いで、延長の末沼尻を降すと、続く副将も退け、豊臣軍の大将までたどり着きました。
今年も大将決戦となりました。豊臣軍の大将は土屋(花園櫻武会・一般男子)。両軍から大将が登場すると、それまでお祭り騒ぎのような和やかな会場が一変して、音一つなく両軍ともに正座をして大将の立合いを見守ります。両者の竹刀の触れ合う音だけが、静かな会場内に沁み渡ります。まさに鎬を削る決戦となりました。
ともに譲らずの厳しい攻防でしたが、最後は北條軍・酒井の渾身のメンが炸裂、昨年の雪辱を晴らしました。先鋒で敗退した娘の無念を晴らすような、ここまでの選手全員の思いを込めたような会心の一本が、本大会を締めくくりました。


各年代等の区分ごとに勝ち抜いた人数の多かった者を表彰する「殊勲賞」は次のとおりでした。
☆小学生低学年 反町 朱里(成心館) 1勝1分
☆小学生高学年 反町 琉雅(成心館) 4勝1敗
☆中学生女子 大八木 南(男衾中学校)17勝1分
☆中学生男子 杉山 太一(寄居中学校) 5勝1分
☆高校生女子 江連 瑠美(寄居城北高校)1勝1分
☆高校生男子 沼尻 和磨(花園櫻武会) 2勝1敗
☆一般男子 酒井 淳嗣(花園櫻武会) 3勝
また、全般を通じて特に試合内容や態度の優れた選手を表彰する「奨励賞」は、次の選手に贈られました。
☆小学生低学年 島田 結衣(成心館)
☆小学生高学年 白石 芽(成心館)
☆中学生女子 松原 心香(川本中学校)
☆中学生男子 田島 亜連(川本中学校)
☆高校生女子 西倉 理加(寄居城北高校)
☆高校生男子 持田 欣也(寄居城北高校)
☆一般男子 原 総一(寄居剣道連盟)

翌日5月13日(日)は、例年のとおり寄居北條まつりの武者隊に参陣しました。
今年も中学・高校から、たくさんの剣道部員が参加してくれて、武者行列や攻防戦を盛り上げてくれました。

