令和6年5月11日(土)、第63回寄居北條まつり剣道大会を開催しました。会場は寄居小学校体育館でした。
町のお祭り「寄居北條まつり」に合わせて、本会が古くから開催している、戦国時代の合戦をイメージした独自の試合方式による剣道大会です。
小学生から一般まで、すべての年代を北條軍と豊臣軍の2チームに分け、先鋒から高点試合(勝ち抜き戦)で試合を進め、相手の大将を先に降したチームの勝利となります。年代の若い順に配置しておりますが、勝ち抜いていけば小学生と中学生など年代の違う者同士が対戦したり、男女も区別なく、さらに同じ道場や学校も敵味方に分かれて鎬を削ることもあり、まさに戦国時代を彷彿させる試合方式となっています。
開会式には、来賓として峯岸寄居町長様、寄居町教育委員会の関根教育長様、寄居警察署の杉山署長様、寄居町スポーツ協会の石井会長様、寄居北條まつり実行委員会の大久保会長様にご臨席いただき、ご祝辞とともに選手への激励のお言葉をいただきました。

開会式に続いて、日本剣道形の演武が披露されました。打太刀は寄居城北高等学校剣道部の山口くん、仕太刀は同じく力山さんでした。

今大会の出場者数は総勢80人で、北條軍39人、豊臣軍41人という内訳でした。対戦の組み合わせ及び試合結果は下の表のとおりです。文字は小さくて読めないだろうと思いますが、試合の流れをイメージするのにご参照ください。

上が北條軍で下が豊臣軍、左から先鋒で始まり、右に向かって進行し、一番左が大将となります。今大会では、諸事情により一般の出場がなく、両軍ともに高校生が大将を務めています。
両軍整列し、礼を交わすと、先鋒戦から試合が始まります。序盤から試合は盛り上がりました。
通常の剣道の試合では、応援は拍手のみで、声援は控えるようにと呼びかけられていますが、この大会は戦国時代のお祭りということで、声を発しての応援を推奨しています。選手たちにもこの趣旨が浸透してきたようで、先鋒戦の始まりとともに、両軍から拍手とともに大きな応援の声が試合場を包み、試合場はまさに戦場と化しました。
始めは小学生です。豊臣軍の先鋒・ルイス(成心館)は、この声援の波に乗り、元気な試合で2人を勝ち抜き、序盤戦を盛り上げます。さらに豊臣軍4番手の持田(成心館)の中学生をも敗る3人抜きなどで、豊臣軍がリードを広げます。








中学生女子の対戦となり、北條軍が少しずつ挽回しながらも、豊臣軍のリードが続いていましたが、ここで流れを変えたのが北條軍13番手・恩田(寄居中)でした。4人抜きで試合を五分に戻しました。

しかし、この恩田を止めた豊臣軍15番手・島田(男衾中)は、中学生男子を7人抜く大健闘で、再び豊臣軍が大きくリードを奪います。






ところが今度は、この島田を止めた北條軍20番手・廣瀬(成心館)が9人抜きの快進撃で、一気に北條軍がリードを奪い返しました。
その後の中学生男子の対戦では、北條軍22番手・三村(川本中)の3人抜きなどで、徐々に北條軍がリードを広げていきます。
豊臣軍からは高校生女子が登場し、中学生男子の猛攻に苦戦しながらも、豊臣軍33番手・三塚(寄居城北高)、同35番手・力山(同高)らの奮闘で、どうにかそれを退けると、試合は終盤戦、高校生同士の対戦へと入っていきました。




この時点でややリードを奪っていた北條軍でしたが、豊臣軍36番手・高野(寄居城北高)の3人抜きで五分に戻すと、少しずつ豊臣軍が逆襲し、3人を残して北條軍の大将を引っぱり出しました。
あとがない北條軍大将・井上(寄居城北高)でしたが、積極的に攻め立て、1人目を豪快な二本勝ちで降すと、続く副将にも付け入る隙を与えず一本勝ちで退け、いよいよ大将同士の決戦へと持ち込みました。
豊臣軍大将・山口(寄居城北高)は上段の構えから、勢いに乗る井上を牽制しますが、ここでも積極的に攻める井上の攻勢が目を引きました。しかし、山口も豊臣軍大将の意地を見せ懸命に応戦し、時間内には勝敗がつかず、勝負は延長戦へともつれ込みました。
今大会では、熱中症の予防対策として、3試合ごとに休憩時間を設けることとしており、山口が3試合となったことから、ここで休憩が入りました。休憩後、延長戦から試合が再開し、お互いに積極的に打ち合いますが、なかなか決定打がなく、試合は再び延長戦へと持ち越されました。
本大会では、時間内に勝敗が決しない場合は引き分けとし、その場合は両者敗退として扱いますが、大将戦については後がないため、引き分けとはせず延長戦としています。前回大会までは、勝敗が決するまで延長戦を繰り返しましたが、今大会では、熱中症対策や大会運営等の都合で延長は2回までとし、勝敗が決しなかった場合は引き分け、すなわち両者敗退とすることとしました。
大将同士の対戦なので、2回目の延長戦で引き分けると両者敗退となり、チームとしての勝敗もなくなります。こういうこともあり得ることは想定していましたが、まさか現実になるとは思っていませんでした。これまでの攻防を見ていると、このまま引き分けるのではないかという不安が脳裏をよぎりましたが、2回目の延長に入ると北條軍・井上が、上段に構えた山口の左拳を攻め、その構えを崩すと、すかさずメンに飛び込み、勝負を決しました。各軍約40人の兵士がつないできた、この合戦の最後を締めくくる見事な一本でした。

かくして今大会の攻防は北條軍に軍配が上がり、真紅の優勝旗が贈られました。

各年代等の区分ごとに勝ち抜いた人数の多かった選手を表彰する「殊勲賞」は、次のとおりでした。
☆小学生高学年 持田 堅成 (成 心 館)3勝
☆中学生女子 島田 結衣 (男 衾 中)6勝
☆中学生男子 廣瀬 匠雲 (成 心 館)9勝
☆高校生女子 三塚 あゆみ(寄居城北高)3勝
☆高校生男子 井上 修汰 (寄居城北高)3勝
また、全般を通じて試合内容や態度が優れていた選手を表彰する「奨励賞」は、次のとおりでした。
☆小学生高学年 ルイス小百合(成 心 館)
☆中学生女子 恩田 有菜 (寄 居 中)
☆中学生男子 三村 聡介 (川 本 中)
☆高校生女子 力山 純美礼(寄居城北高)
☆高校生男子 高野 駈 (寄居城北高)
翌日、5月12日(日)は、寄居北條まつりに武者隊として参陣しました。今年は、一般は深谷からの援軍2人を含めて4人と少なかったのですが、中学生が41人参加してくれて総勢45人、北條軍と豊臣軍各20数名の大部隊を編成することができました。
町なかのパレードでは勇壮な行進を披露し、河原での攻防戦では、元気な戦いぶりを見せてくれました。
皆の者!天晴れであった!





寄居北條まつりの様子は、寄居町のホームページ等をご参照ください。広報よりい6月号では、表紙にも使用されました。