寄居剣道連盟  百錬自得

 
 

 9月に入りました。8月は、前半は連日の雨降りで梅雨に戻ったかのような天候が続いたかと思えば、後半になると連日30℃を越える真夏日が戻ってきて、夏らしいというよりは極端な気候の変化に振り回された感じでした。そして今は、南方から接近してきている台風の影響で、再び雨模様の日が続いています。これから勢力を増しながら北上してくるらしいので注意が必要です。


 さて、8月中は更新を怠っていました。私ことですが、しばらく落ち込んでいました。

 しばらく前から稽古に身が入らなくなっていました。やるぞ!という意気込みで道場には行くのですが、稽古が始まる頃になると、どうも気持ちが衰えてしまう感じです。自分では気合いを入れているつもりなのですが、中から湧いてくるものがありません。

 そんな調子で8月初めの四地区対抗剣道大会に出場したものだから、情けない試合結果になってしまいました。稽古でふがいない分には、自分のことなので仕方ないことですが、みんなが見守る、格調高いあの舞台で気の抜けた立合いはいただけません。せっかく出場させていただいたのに、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 なぜ、気力が湧いてこないのだろう?と悩んでいたとき、ふと何年も前の言葉が思い出されました。お世話になっていた近隣の先生が、お年を召されてあまり稽古にお見えにならなくなっていましたが、しばらくぶりで顔を合わせたとき、私に向かって「はぁ気力がなくなっちまったよ」とさみしそうに声をかけてきました。稽古では厳しく、普段は穏やかであたたかい先生でした。私はそのとき先生に「稽古はせずとも、先生が道場にいらっしゃるだけで、みんなの身が引き締まってくるので、ぜひ道場へはお出でください」というような言葉を返しましたが、それからしばらくして先生の訃報を耳にしました。もう何年も前の話です。

 今の自分の気力のなさは、あのときの先生の心境なのだろうかなどと考えてしまいました。すると私ももうそろそろ逝くのだろうか。いやいや、そこまではまだ考えられませんが、気持ちが落ち込むと、過去にさかのぼっていくものなのでしょうか。


 8月は、緊張感のある立合いがいくつかありました。8月6日(日)には、前述の四地区対抗剣道大会。8月20日(日)には、NPO法人「剣宝会」主宰の小鹿野剣道文化祭。8月26日(土)には、八段受審者講習会。四地区対抗は試合ですが、高段位になってくると勝敗もさることながら立合いも意識した内容となってきます。いずれにしても周囲で多くの人に見守られたながらの立合いで、普段の稽古とは違った緊張感を覚えます。

 もう何年前になるでしょうか、剣道の地区講習会で、今は範士ですが当時はまだ教士だっただろうと思われる八段の先生が講話をされた際、「八段なんてのはね、メンが打てれば合格できるんですよ」というようなことをおっしゃっていたことがありました。そのとき私は、そんなことはないだろう、八段と言えば、返したり、すり上げたりと、適宜巧みに技を使いこなしているし、そういった技を会得しなければ八段には受からないだろうと思っていました。先生は謙遜してそんなことを言っているのだろうと思いました。

 しかし、あれから何年になるか、高段位を目指して稽古に励んでくるうちに、その言葉が身にしみるようになってきました。メンを打つことが、いかに難しいかを実感しています。


 もう何年も前のこと、段位審査に受からずに苦心していたとき、基本に立ち返ろうと、基本打ちの練習に取り組みました。基本なんて簡単なものと思って軽い気持ちで始めてみたら、何本か打っただけで息は上がるし、体も疲労しました。学生の頃は平気で何本も打っていたような気がしますが、年をとって体力が衰えたか、日頃の地稽古でいかに気が抜けていたかを実感しました。

 基本稽古は苦しいと改めて感じながらも、理想の一本を求めて繰り返し繰り返し続けていくと、やがて気力が充実してくるのが感じられました。そのとき思い出された言葉が、過去に恩師に聞いた言葉でした。「心をこめた繰り返しの中から気力が生まれる」どうにか立ち直れそうです。


 さて、8月26日(土)は、小学生を対象とした級の審査会兼県大会の予選が開催されました。他の行事と重なり、幹部何名かが出られませんでしたが、会長をはじめ若手会員で無事執行できたようです。当日は、花園櫻武会の子どもたちが学校行事の関係で急きょ出場できなくなり、成心館の子どもたちだけになってしまったのは残念でした。県大会出場選手は改めて櫻武会と調整することになろうかと思いますが、しっかり稽古を積んで県大会でいい立ち合いができますようお祈りしています。

 審査会兼予選会が終了したあとは、連盟の稽古会をおこないましたが、こちらは6名の参加でした。ちょっとさみしい人数でしたが、30℃を超える暑さの中、稽古ご苦労さまでした。

 そして、その晩は残暑払いと称して宴会でした。こちらは10数名の参加者で賑わいました。アキレス腱を傷めて稽古を休んでいる先生が2人いますが、お二人とも出席して復帰間近をアピールしていらっしゃいました。宴は盛り上がり、二次会、三次会と懇親を深められた方もいらっしゃったようです。また気持ちも新たに邁進してまいりましょう!

明暗〜何年も前の言葉が思い出される

H.29/09/02

 
 
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